数値サマリー

項目当期(百万円)前期(百万円)前期比
売上高10,3609,242+12.1%
売上原価4,4124,123+7.0%
売上総利益5,9485,119+16.2%
販売費及び一般管理費3,1162,858+9.0%
営業利益2,8312,260+25.3%
経常利益2,8502,235+27.5%
純利益1,9561,537+27.2%
  • 営業利益率: 27.3%(前期24.5% → 2.8pt改善
  • 1株当たり純利益(EPS): 78.22円(前期62.26円)
  • 業績修正の有無: (通期業績予想・配当予想を上方修正)

通期予想(上方修正後)

項目通期予想(百万円)前期比H1達成率
売上高20,700+7.3%50.1%
営業利益5,500+14.1%51.5%
純利益4,050+16.1%48.3%
年間配当予想66円+32%

分析

1. 利益率改善の本質 — 「製販一体体制」が効いている

売上+12.1%に対し、**売上原価+7.0%・販管費+9.0%**と費用の伸びが売上を大幅に下回った。これが営業利益+25.3%(売上の倍以上の伸び)を生んだ構造。

PDFに明記: 「営業とSEを同一組織に配置し相互の連携を強化する製販一体体制を導入しております。これにより、見積時の顧客要件見極めによる案件精度の向上やプロジェクトマネジメント体制の強化、納品品質の向上によるシステム稼働後のアフターサポート工数の削減が図られ、利益体質が強化されてきております。」

受注→開発→納品→保守の全工程を同一チームが担当することで、仕様変更・手戻りが減り、見えないコスト(アフターサポート工数)が削減されている。これはオペレーティングレバレッジが強化される構造変化を意味する。


2. 収益構造 — 83.7%がストック型(定期収入)

商材別売上内訳(当期H1)

カテゴリ売上(千円)比率
フロー型(ライセンス・カスタマイズ・導入支援)4,503,09043.5%
フロー型(ハード機器等)1,264,51612.2%
フロー型(その他)56,6880.5%
ストック型(サービス利用・システム保守)4,536,45543.8%

収益認識の時期別

区分売上(千円)比率
一時点で移転(一括認識)1,692,38116.3%
一定期間にわたり移転(定期認識)8,668,36883.7%

売上の83.7%が定期契約に基づく安定収入。一時的な受注の波に左右されにくい収益基盤が確立されており、景気変動への耐性が高い。

2事業の内訳

事業売上(千円)比率
システムソリューション事業(アラジンオフィス)9,131,22188.1%
Webソリューション事業(CROSS MALL・CROSS POINT)1,229,52911.9%

3. 成長ドライバー

システムソリューション事業

  • 「アラジンオフィス」(中堅・中小向けERPパッケージ)の業種別機能強化を継続
  • 大型案件の継続受注と安定した開発進捗により売上が拡大
  • 仕入品値上げに伴う顧客提供価格の改定 → 単価上昇
  • 中堅企業へのターゲットシフト → 高単価案件比率上昇

Webソリューション事業

  • 「CROSS MALL」(複数ネットショップ一元管理):サービス強化を背景とした月額利用料値上げ → 契約単価上昇
  • 「CROSS POINT」(ネット・実店舗ポイント一元管理):ファッション業以外への業種拡大
  • 「BACKYARD™ ITEM PLAN」:商品情報管理の新サービスを提供開始(実店舗・EC・BtoB・D2Cの多様化対応)

AI・技術革新

  • マイクロサービスアーキテクチャへの転換:開発期間短縮・他社技術との連携強化
  • AI活用:設計・検証プロセスの迅速化、ドキュメント作成・コード補完の自動化 → 開発生産性向上
  • 研究開発費: 72,170千円(前期42,286千円、+70.7%増)
  • 島根県松江市に研究開発拠点「アイル松江ラボ」設置

4. 財政状態 — 無借金に近い健全な財務

指標数値
総資産17,281M
純資産12,366M
自己資本比率71.6%
現金及び預金8,851M(前期7,402M → +1,449M増)
支払利息わずか217千円(実質無借金)

現金が総資産の51.2%を占め、無借金・高現金保有の超健全財務。


5. 配当・株主還元

中間配当期末配当合計
前期(FY2025)20円30円50円
今期(FY2026予想)32円34円66円(+32%増)

配当予想を上方修正(2026年3月6日公表)。増益に伴う株主還元の強化。


6. ESOP信託(社員株式付与制度)

2025年9月に株式付与ESOP信託を新導入。社員に当社株式を付与することで、株価上昇への関心と業績向上へのモチベーションを連動させる米国型インセンティブプラン。

  • ESOP信託が保有する株式: 29,700株(86.8百万円)
  • 社員の経営参画意識を高める企業価値向上プランとして機能

旧来の「株式需給緩衝信託®」(市場安定化目的)からの転換であり、ガバナンスの質が向上している。


7. リスク・注意事項

  • 中堅市場へのシフト:大型案件比率上昇は景気悪化時の受注減リスクを高める可能性
  • 人件費・採用コスト:IT人材不足の深刻化に伴う採用コスト上昇は継続中
  • 仕入値上げの転嫁限界:一部仕入品の値上げをどこまで顧客価格に転嫁できるか
  • 米国通商政策のリスク:PDFで言及あり(間接的な国内経済への影響)

結論

アイルは構造的に強い成長軌道にある。

  • 売上の83.7%が定期収入(ストック型)という景気変動に強い収益基盤
  • 製販一体体制により利益率が24.5% → **27.3%**に改善中
  • AI・マイクロサービスアーキテクチャ投資が開発生産性を向上
  • 通期営業利益51.5%達成(H1時点)で上振れ余地あり
  • 配当+32%上方修正で株主還元を積極化
  • 無借金・現金8,851M・自己資本比率71.6%という財務健全性

中堅・中小企業向けのニッチな業種特化ERP市場で確固たる地位を持ち、Webソリューション(CROSS MALL等)で中堅大手市場へ拡大中。短期的なリスク要因は乏しく、業績の継続改善が見込まれる優良案件


出典: TDnet 適時開示(原文PDF) | IR | English version

免責事項 | 本記事は情報提供を目的としており、投資推奨・売買指示ではありません。正確な財務数値は原本PDFをご確認ください。