大豊建設株式会社(1822)2026年3月期 決算分析
数値サマリー
| 項目 | 当期(百万円) | 前期(百万円) | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 139,818 | 143,394 | -2.5% |
| 営業利益 | 6,895 | 5,533 | +24.6% |
| 経常利益 | 7,332 | 5,204 | +40.9% |
| 純利益 | 4,557 | 3,691 | +23.5% |
- 営業利益率:4.9%(前期3.9%)
- 業績修正の有無:なし
来期業績予想(2027年3月期)
| 項目 | 来期予想(百万円) | 今期通期実績比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 157,000 | +12.3% |
| 営業利益 | 6,800 | -1.4% |
| 経常利益 | 8,000 | +9.1% |
| 純利益 | 4,700 | +3.1% |
来期予想は売上高で二桁成長を見込む一方、営業利益は微減予想となっており、売上増加が利益に十分に結びつかない見通しを示唆している。利益率の圧縮が懸念される。
分析
1. 数字の意味:売上減少下での利益率改善の実態
売上高は2.5%減少(139,818百万円)しながら、営業利益は24.6%増加(6,895百万円)、経常利益は40.9%増加(7,332百万円)という逆相関現象が発生している。これは単なる効率化ではなく、以下の構造的変化を示唆している:
**営業利益率の上昇(3.9%→4.9%)**は、売上減少局面での選別的な案件受注と原価管理の徹底を反映している。シールド工法・無人化掘削工法といった高付加価値工法への集中が、低採算案件の削減と相まって、限定的な売上規模でも利益を確保する体質へ転換したことを示唆する。
経常利益の40.9%増加は営業利益の伸び以上であり、金融収支の改善(受取利息増加または支払利息減少)が寄与している可能性が高い。自己資本比率が47.7%から48.4%へ上昇したことと整合的である。
2. 会社の現在の状況・戦略的背景
大豊建設は麻生グループの一員として、大型土木プロジェクト参画を主軸としている。売上減少は市場全体の案件規模縮小ではなく、戦略的な案件選別を示唆している。
前期(2025年3月期)の売上高が143,394百万円で前年比-12.1%と大きく減少していたのに対し、当期は-2.5%に減速している。これは調整局面からの安定化を示唆する。同時に、営業利益率が3.9%から4.9%へ1.0ポイント上昇したことは、低採算案件の排除と高付加価値工法への経営資源集中が奏功していることを示す。
自己資本比率48.4%は建設業としては堅牢であり、グループ内での安定的な資金調達環境を背景に、無理な受注競争を避ける経営姿勢が確認できる。
3. 注目すべき変化・リスク・ポジティブ要因
ポジティブ要因:
営業キャッシュフロー: 3,888百万円(前期11,776百万円)と大幅に減少しているが、これは前期の高い営業CFが異常値であった可能性が高い。当期の3,888百万円は営業利益6,895百万円に対して56%のCF化率であり、建設業としては妥当な水準である。
利益率改善の持続性: 営業利益率4.9%は業界平均6.0%を1.1ポイント下回るものの、前期の3.9%からの改善は構造的であり、今後の案件ミックス次第で業界平均への接近が可能である。
ROE向上: 自己資本当期純利益率が5.3%から6.2%へ上昇し、資本効率が改善している。
リスク要因:
来期営業利益の微減予想: 売上高が157,000百万円(+12.3%)と大幅増加予想される一方、営業利益は6,800百万円(-1.4%)と微減予想となっている。これは売上増加に伴う原価率上昇を示唆し、新規案件の採算性が現在の案件より低い可能性を示唆する。営業利益率は4.3%(6,800÷157,000)へ低下する見通しである。
営業CF減少の継続: 当期営業CFが3,888百万円と前期比67%減少しており、運転資本の悪化傾向が続く可能性がある。建設業の工事進捗に伴う前払金・未収金の増加が影響している可能性が高い。
配当性向の上昇: 配当性向が65.8%から71.4%(来期予想)へ上昇しており、利益成長率に対して配当増加が先行している。利益変動性の高い建設業としては、持続性に注意が必要である。
4. 日本特有の文脈
グループ企業としての経営判断: 麻生グループの一員として、親会社からの大型プロジェクト配分と資金支援が経営の安定性を支えている。売上減少局面での利益率改善は、グループ内での競争圧力が相対的に低く、選別的な受注が可能な環境を示唆する。海外投資家は独立系企業と同じ成長期待を持つべきではない。
建設業の工事進捗会計: 営業CFが営業利益より大幅に低い(56%化率)のは、工事契約の前払金・未収金が多く発生する建設業の特性である。これは利益の質が低いのではなく、業態特性であり、キャッシュ化には工事完成から数ヶ月のラグが生じることを理解する必要がある。
株式分割の影響: 2025年4月1日付で1株を5株に分割しており、EPS比較時には分割調整が既に施されている。1株当たり純資産が854.48円(前期810.64円)と上昇しているの
出典: TDnet 適時開示(原文PDF) | IR | English version
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