6月に掲載したサムコ(TSE:6387)の分析記事は「AIカペックス温度計」と題した。テーゼはシンプルだった——サムコはAI向け半導体の製造に使うCVD・成膜装置を作っており、データセンター投資が加速するほど注文が増える。Q3 FY2026は売上+18.8%・営業利益+33.7%・OPM25.1%を記録した。

本日発表されたFUJI株式会社(TSE:6134)のQ1 FY2027決算は、同じテーゼをサプライチェーンの別の層で確認するものだ。

FUJIが作るもの

FUJIはチップマウンター——電子部品をプリント基板に自動実装する機械——の世界的リーダーである。サムコが半導体の「製造工程最上流」(ウエハーへの薄膜形成)に位置するとすれば、FUJIは「製造工程最下流」(チップを基板に載せる工程)に位置する。

AI投資の波はひとつの点には止まらない。GPUの発注(NVIDIA)→ファブ増産(TSMC・Samsung)→製造装置(ASML・サムコ)→基板実装装置(FUJI)と、サプライチェーン全体に順次波及する。FUJIの今回の決算は、その波が実装工程にまで届いたことを示している。

決算数値

指標Q1 FY2027前年同期比
売上高606億円+45.9%
営業利益152億円+192.6%
経常利益159億円+182.0%
当期純利益126億円+122.1%
営業利益率25.1%
自己資本比率83.4%

営業利益+192.6%というヘッドラインは驚異的だが、より重要な数字は営業利益率25.1%だ。これはサムコがピーク時に記録した水準とほぼ同一である。特定の一時的要因ではなく、固定費に対して需要が上回った局面に入った産業設備メーカーが示す典型的な利益率水準だ。

自己資本比率83.4%は前年(83.5%)とほぼ変わらず、増収増益を無借金・無希薄化で達成していることを示す。

サムコとの比較

サムコ分析が指摘したリスクは「ビジネスは正しいが株価がすでに織り込み済み」だった。業績は本物だが、バリュエーションが数年間の好況を前提としていた。

FUJIは規模・分散・市場支配力において異なるプロフィールを持つ。売上規模はサムコの四半期実績の約10倍。チップマウンターはAIサーバー向け基板にも民生電子機器にも使われ、顧客・用途の分散度が高い。またAIサーバー向け基板は民生品より搭載部品数が多く、1枚あたりの実装工数(=FUJIの収益機会)が大きい。

数字が語らないこと

Q1の数値単独では受注残の内訳が分からない。最重要の問いは「今期の急増は積み上がっていた受注の消化か、それとも新規受注がさらに加速しているか」だ。受注/売上比率が1.0を上回っていれば受注残は積み増しが続いており、今後の四半期も同水準が見込める。下回っていれば今期がサイクルのピークである可能性がある。

FUJIは通常、四半期結果に受注データを開示する。次回の開示を注視したい。

注目点

  • 受注/売上比率:今後の先行指標として最重要
  • AIサーバー向け比率:データセンター向けと民生品では需要サイクルが大きく異なる
  • 中国リスク:FUJIは中国に実装拠点を持つ。AI向けチップの対中輸出規制が強化されれば中国のAIサーバー組み立てが減速し、FUJIの中国向け受注に影響する

サムコ記事は「テーゼは正しい、ただし高い」で締めた。本日のFUJI決算は、実装工程という下流でも同じ波が来ていることを確認した。AIカペックスの波がサプライチェーンのどこまで波及しているか——その答えの一端を、FUJIのQ1が示している。


出典: TDnet 適時開示(原文PDF) | 決算速報(TSE:6134) | English version

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